働き方

クライアントが音信不通で制作費が未払い。Web屋がやるべき対処を順番に

クライアントが音信不通で制作費が未払い。Web屋がやるべき対処を順番に

返信が、来ない

納品は終わっている。請求書も送った。…なのに、支払日を過ぎても入金がない。メールを送っても、チャットを送っても、既読すらつかない。

胃のあたりが、ざわざわしますよね。「持ち逃げされたのかな」「でも催促して、しつこいと思われたら…」。怒りと不安と、ちょっとの自己嫌悪が混ざって、仕事も手につかなくなる。

その状態、痛いほど分かります。…でも大丈夫。未払いは、順番どおりに動けば、かなりの確率で回収できます。今日は、Web屋が実際にやるべきことを、感情的にならずに済む順番で整理していきますね。

大前提:あなたには、請求する正当な権利がある

まず、ここだけは先に。

納品が終わっているなら、あなたには報酬を請求する権利があります。催促は「お願い」ではなく、正当な権利の行使です。しつこいことでも、恥ずかしいことでも、まったくありません。

そして、相手が悪意を持って逃げているとは限らない、というのも大事な視点です。実際には、担当者の異動・退職、経理の処理漏れ、単純な見落とし。…連絡が途絶える理由の多くは、悪意ではなく事故なんですよね。だから最初の一手は、静かに、事務的に。

対処は、この5ステップで

未払い対応の5ステップの図解

感情のままに動くと、たいてい消耗します。段階を上げていくのが正解です。

STEP1|事実を確認して、証拠をそろえる

催促の前に、手元を固めます。

  • 契約・発注の記録(契約書、発注書、メールでの「お願いします」のやりとり)
  • 納品の記録(納品日、送付メール、公開されたURL)
  • 請求の記録(請求書、送付日、支払期日)

このうち「相手が発注した」「自分が納品した」が分かるやりとりが特に重要です。契約書がなくても、メールやチャットのログが立派な証拠になります。…まずはこれをフォルダにまとめておきましょう。

STEP2|事務的な「確認」を送る

最初の連絡は、責める文面にしないのがコツ。行き違いの可能性を前提にした事務連絡として送ります。

「お世話になっております。〇月〇日にご請求いたしました件(請求書番号◯◯/金額◯◯円)につきまして、本日時点で入金の確認が取れておりません。行き違いでしたら申し訳ございません。お手数ですが、お支払い状況をご確認いただけますでしょうか。」

ポイントは、金額・請求日・支払期日を明記すること。曖昧な催促より、事実が並んでいるほうが動いてもらいやすいんです。

STEP3|連絡手段と相手を、変える

メールが無反応なら、経路を変えます。

  • 電話をかけてみる(メールを読まない担当者は普通にいます)
  • 別の担当者・上長・代表窓口に連絡する
  • 会社の問い合わせフォームから連絡する

担当者個人が飛んでいるだけで、会社としては普通に営業しているケースは珍しくありません。ここで解決することも多いです。

STEP4|期限を切った、書面での督促

ここから少しトーンを上げます。支払期限を明記した督促を、記録の残る形で送ります。

「再三のご連絡となり恐縮ですが、本件のお支払いが確認できておりません。つきましては、〇月〇日までにお振込みいただけますようお願い申し上げます。期日までにご対応・ご連絡をいただけない場合は、法的手続きを含めた対応を検討せざるを得ません。」

「法的手続きを検討」の一文が入るだけで、動く相手はかなりいます。…そして、ここまでの経緯が全部記録に残っていることが、次の段階で効いてきます。

STEP5|外部の力を借りる

それでも動かないなら、ひとりで抱えるのをやめます。選択肢は主にこの3つ。

  • 内容証明郵便を送る … 「いつ・誰が・どんな内容を送ったか」を郵便局が証明してくれる。心理的な効果も大きい
  • 少額訴訟 … 60万円以下の請求なら、原則1日で結論が出る制度があります
  • 弁護士・法テラスに相談 … 金額が大きい場合や、相手が悪質な場合

金額や状況によって最適解は変わるので、具体的な進め方は法テラスなどの公的窓口や弁護士に相談してください。ここは専門家の領分です。

次から同じ目に遭わないために

回収と並行して、仕組みも直しておきましょう。未払いは「起きてから対処する」より「起きにくくする」ほうが、圧倒的にラクです。

  • 着手金をもらう … 半金前払い、または初回取引は全額前払い。これがいちばん効きます
  • 発注をテキストで残す … 口頭やニュアンスで進めない。「この内容で進めます」の一言を必ずもらう
  • 支払期日を明記する … 「請求書発行月の翌月末」など、期日を最初に合意しておく
  • 納品と公開データの渡し方を分ける … 入金確認後にデータ・権利を引き渡す形にしておく

このあたりは、値上げ交渉と取引先の見直し方で書いた「取引先を単価×消耗度で仕分ける」話とも地続きです。

そして、いちばん大事なこと

未払いを起こす取引先は、たいてい他のところでも消耗させてきます。支払いが遅い、連絡が雑、要求だけ多い。…思い当たりませんか。

回収が済んだら、その相手と今後も付き合うかどうかを、冷静に決めてください。「切ったら次がないかも」と怖くなる気持ちは分かります。…でも、払わない相手に使っている時間は、本来もっと良い仕事に使えた時間なんですよね。

安い仕事や消耗する相手で埋まっていると、いい案件を取りにいく余白がなくなる。この構造については単価が安いから抜け出す記事に詳しく書きました。

まとめ:順番に動けば、たいてい動く

ぎゅっとまとめますね。

  • 催促は「お願い」ではなく、正当な権利の行使
  • 連絡が途絶える理由は、悪意より事故のことが多い。最初は事務的に
  • 順番は5ステップ:証拠をそろえる → 事務連絡 → 経路を変える → 期限付き督促 → 外部の力
  • 次から防ぐには、着手金・テキストでの記録・支払期日の明記
  • 回収が済んだら、その相手と付き合い続けるかを決める

いま胃が痛いなら、まずSTEP1だけでいいです。メールとファイルをフォルダにまとめる。それだけで、「何をすればいいか分からない」状態からは抜け出せます。

…ひとりで抱えなくて大丈夫。順番に、いきましょう。

Web制作の値上げ交渉と、消耗する取引先の見直し方はこちら

Web制作の単価が安い…から抜け出す記事はこちら

そもそも「何がきついのか」から整理したい人はこちら

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です